血管とはゴムホースのようなものです。弾力がありますが、劣化すると硬くなりひびが入ります。勢いよく水がながれていれば汚れませんが、流れが悪くなると汚れてきます。ドロドロが流れ続ければ詰まってしまいます。いよいよぼろくなると破れてしまします。破れてしまうと大変です。でも、大変丈夫で長持ちします。
心臓から出たすぐの血管は太くて丈夫です。直径2~3㎝もあって1分間に5リットルもの血液が流れます。この血管が大動脈と呼ばれます。最初はたった1本の動脈は分かれるごとに細くなっていきます。最後は細動脈と呼ばれる細い動脈になって、皮膚や肝臓などの各組織につながります。組織では血管は毛細血管になります。大変細いもので、1マイクロメートル、髪の毛の10分の1の細さになり、赤血球1個が通れるくらいの細さです。全部合わせると地球2周半の長さにもなります。
組織から出た血管は静脈と呼ばれます。合流するごとにだんだん太くなって心臓にもどります。
ヒトの四肢の静脈には弁という仕組みがあって血液が心臓に向かって一方通行に流れます。重力に逆らって血液が心臓に向かって昇っていく仕組みです。筋肉によって静脈が揉まれて圧迫されることで、血液が昇って行きます。筋肉ポンプと呼ばれ、下肢の筋肉は第2の心臓といわれます。筋肉が収縮しないと、血液は心臓に向かって昇っていくことができません。このため、ただ立っているだけの状態、椅子に座っているだけの状態では血液が心臓に戻れず足に血液が溜まってしまいます。このため、ただ座っているだけの状態では足がむくんでしまいます。
車などで長時間座ったまま動かずにすごすと足に血液が溜まってしまい、下肢の静脈の血液が固まってしまうことがあります。深部静脈血栓症といいます。この静脈血栓ははがれて、肺に飛んで行ってしまうことがあります。血栓の量が多いと直ちに命に関わります。まれに心臓に穴がある人は肺を通らず、脳に血栓が飛んでいくことがあります。エコノミークラス症候群と呼ばれます。飛行機ではエコノミークラスもビジネスクラスも発症頻度は差はなかったと聞きます。